離婚の方法

離婚の方法

 離婚の方法は、次の表のとおり4種類あります。
現在、日本では、離婚全体の約9割は協議による離婚です。

しかし、協議離婚では、手続の手間も費用もかからないため、十分な話し合いをしない場合や、話し合いをしても協議内容を書面に残さない場合などが多くあるため、離婚後にトラブルになるケースが多くみられます。

また、調停や審判離婚、裁判離婚の場合は、どうしても時間がかかってしまいますので、離婚を早期に成立させるためには協議離婚が賢明といえます。

そこで、しっかりした離婚協議書づくりが必要となります。
このためには、ご夫婦でよく話し合うとともに、ご自身の将来のために、離婚協議書の内容を専門家に確認するなどにより、内容を精査することが大切となります。

離婚方法の比較表
方法 内容 費用 注意点
協議 夫婦間で離婚に同意し、市町村役場に離婚届を提出し、受理されれば成立 法定費用0円
(行政書士に離婚協議書作成を依頼した場合、一般的に10万円未満です。公正証書の場合、公証役場手数料がほかに必要)
離婚条件を整理しないまま離婚した場合、離婚後にトラブルが多く発生する。
調停 家庭裁判所に調停を申立し、調停委員による調停により、離婚に同意すれば成立 法定費用 印紙代1200円+連絡用切手代 (弁護士に代理を依頼した場合、委任契約料は一般的に数十万円ほか) 原則、本人が出頭しなければ離婚不成立
審判 調停不成立の場合、調停に代わる審判が確定すると成立 法定費用 印紙代2000円程度
(弁護士に代理を依頼した場合、委任契約料は一般的に数十万円ほか)
審判後、2週間以内に不服申立により審判の効力が失われる。
裁判 協議、調停、審判でも離婚できなかった場合、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、離婚を認める判決により成立 法定費用 1万3000円+連絡用切手代 (弁護士に代理を依頼した場合、委任契約料は一般的に数十万円ほか) 判決で離婚が認容されるには民法770条の離婚理由(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、婚姻継続しがたい重大な事由)が必要です。

離婚の協議事項

協議離婚をする際に、相手方と協議すべき主な事項は、次のとおりです。

協議事項のそれぞれについて、ご夫婦のこれまでの婚姻状況や今後の生活関係やお子様の養育関係などにより、専門的判断が必要となる場合があります。当事務所に具体的な事案についてご相談ください。

協議事項 留意点等
1.親権者の指定 ご夫婦間に未成年の子がいる場合は親権者を決めないと離婚届は受理されません。親権の内容は身上監護と財産管理に分けられますが、いずれも子の利益のために誰が適切であるかの観点から決めることになります。
2.養育費 親は子に対して自己と同程度に生活を維持する義務を負い、別居していても子の監護費用を負担しなければなりません。養育費とは、子供が親から自立するまで養育してもらう費用です。

実際上は、子と同居していない親は親権者又は監護者に対して養育費を支払うということになります。

養育費の支払い期間については、一般的には成人に達する日までということになりますが、事情によって異なります。
成人に達する前に婚姻していたり、あるいは成人に達しても大学等に進学していたりする場合など、、それぞれの事情を考慮することも必要です。

養育費の金額については、親の収入や子の年齢等に応じてその目安を定めた算定表が参考となりますが、養育費の支払開始時期、終了時期、支払方法などを具体的に決める必要があります。

3.財産分与 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産分与を請求することができます。財産分与は夫婦の共有財産を清算する清算的要素のほか、離婚後の生活を補償する扶養的財産分与の要素慰謝料の要素も含めることができます。

夫婦の実質的共有財産を折半するのが一般的ですが、不動産の評価や独身時代の預貯金額の特定など、困難な問題もあります。

協議が整わないなどの場合は家庭裁判所に離婚後2年以内に請求しなければならないとされています。

4.慰謝料 慰謝料は相手の行為によって精神的苦痛を受けた場合、その苦痛を補填するもので、離婚に伴う慰謝料と婚姻中の不法行為に基づく慰謝料があります。

相手の浮気、不貞行為、悪意の遺棄、暴力、性行為の拒否、一方的な離婚の申し入れなどの場合に請求できます。 ただし、損害及び加害者を知った時から3年間行使しないと時効消滅しますので、時効中断措置を講じる必要があります。

5.年金分割 婚姻期間中の厚生年金及び共済年金を分割する制度で、当事者の合意又は裁判による「合意分割」と厚生年金などの被扶養保険者であった者が国に請求する「3号分割」といわれているものがあります。このうち、合意分割は当事者が一定の範囲で自由に分割することができます。

3号分割は分割請求により報酬比例部分のみ自動的に1/2に分割されますが、離婚日の翌日から2年以内に請求しなければならないとされており、注意が必要です。

6.面会交流 面会交流は子の成長にとって大変重要なことですから、よく話し合ってその具体的な内容を決めておくべきです。

しかし、面間交流は約束どおりに面会交流ができない場合が少なくないため、約束の履行をどのように確保するか、その方法に工夫が必要となります。

7.婚姻費用等の清算 婚姻費用は、夫婦の婚姻期間中に同居し共同で結婚生活を維持するための費用ですが、お互いに分担すべきものとされておりますが、例え別居していても婚姻関係が継続している限り、婚姻費用の分担を請求することができます。

婚姻費用の額、支払方法はお互いの収入や財産、子供の養育費などを考慮して協議により決めることになります。

公正証書の作成とは

公正証書とは、公証人が法律(公証人法)に従って作成する契約などについて作成した証書をいいます。

このように公正証書を作成しておくと、相手方に養育費などの協議した金銭の支払いについて不払いがあると、すぐに強制執行に入ることができ、債権回収が容易になります。

お子様がいる場合の養育費の支払いなど、判決を得ないで強制執行できる公正証書がよく利用されており、離婚協議書については、公正証書を必ず作ることをお勧めします

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